高橋久美子という詩人

今回はチャットモンチーDr.の高橋久美子さんが9月末でバンドを脱退することについて書きたいと思います。
正直今でも信じられないというか、まだすべてを受け入れることができずにいますが、自分の脳内を整理する意味でも必要と感じたので記しておきます。

まずなれそめとして(解散するわけでもないけれど)
チャットモンチーとの出会いは2006年。
当時高1だった私がクラスの女の子と仲良くなっていろんなバンドの音源を貸してもらい、その中に耳鳴りがありました。
そのころ聴いていたバンドというのは、男子のメンバー(というかだいたい男の子ばっかり)が当たり前で、ガールズバンドはZONEの印象で止まっていました。
なのでえっちゃんの張り裂けるような高い歌声と、あっこちゃんが鳴らす野太いベースと、クミコンが叩くドラムの音の強さに大層驚いたものです。

たった3人で、スリーピースで、こんなに力強いバンドサウンドがあったのかと。
しかも女の子3人組。
Perfumeよりも先にこの3人組が好きになってしまったのです。


そのあとにSHAKALABBITSやGOGO!7188やMASS OF THE FERMENTING DREGSを聴くきっかけができたのもチャットモンチーのおかげ。
ロキノンでもガールズバンドの星、というかなんというか1stにしてものすごいものを作り上げてしまったような扱いを受けていましたが、
決してその扱いに間違いはなかったと思っています。
それくらい衝撃がすごかった。

チャットモンチーの魅力は見た目とは一味違った演奏力もあると思いますが、
女性ならではの作詞能力も素晴らしい。
チャットモンチーは、3人ともが作詞をします。
ただの恋唄には聞こえないような、ちょっと重たいような詞の内容があったりとか
実際に体験したことを詞に書いたりだとか。
その中でも私はクミコン作詞の曲のほとんどが大好きだったりしました。
これは最近やっと調べたからわかったことで。
偶然なんでしょうかね。



親知らずが生えてきたよ
怖いから歯医者には行かない

親知らずが生えてきたよ
誰も知らない間に

大きく口を開いて 仕上げのブラシを
膝枕に頭乗せて 見上げるのが好きだった

家族写真はいつだって 和やかに 色あせず
ひとりで暮らす部屋の中 微笑んでいるのです
妹を抱いた母親と真面目すぎる父親と
まるで昨日のことのよう まるで昨日のことのよう


チャットモンチー/親知らず」

この詩もクミコンが作詞。
最初は歯の歌なんだと思っていたら、家族。
どっかのインタビューで読んだとき実家に帰っているときに思いついたんだとかそんなことを言っていたような。


実際ライブで聴くことはできなかったけれど
2ndの生命力の1曲目に持ってきたおかげで
再生数は1位。
歌詞もこうやって手打ちできるくらい覚えてしまいました。
チャットに限らず1曲目って結構重要です。

他にも代表曲シャングリラや風吹けば恋、サラバ青春、ハナノユメ、8cmのピンヒール…などなど
脱退のニュースを知ってから歌詞サイトを探して
チャットの中心を担うようなとても大事な曲たちの作詞が
みーんなクミコンだと気付いたとき、
ほんとうに惜しい才能を失くしてしまうのか、と
ひどく落ち込みました。
もちろん高橋久美子自身も好きな人物であるし
ヒトノユメ展も興味があって行きたかったのです
(日程的に無理だったので行けずじまい、、、)
でももうチャットモンチー高橋久美子の詩は聴けないのか。
そう思っていた。
けれど、
凛として時雨のDr.ピエール中野さんのツイートで少し希望がもてました。

Twitter



@Pinakano
ピエール中野 凛として時雨のドラム
ところでこれからチャットモンチーがどんな展開をしていくのかは楽しみでもある 。それもバンドだ。再び作詞で彼女が関わることだって十分あり得るわけだし。


絶対的な3人のバランスが私は好きであったのであって、
今後新メンバー加入という結果になってもしばらくは納得できないかもしれないし、
2人体制でやっていく(サポートドラムという形をとる)というのもなんだか不安定に感じてしまうのかもしれない。
3人に依存してしまっていたんだなぁって改めて思いました。
絶対メンバーチェンジしない理由なんてないのか、と。
3人同士がいくら仲が良くても個人の問題は限界があるなぁとコメントを読んで次第に理解できるようになりました。
だって人間だもんね。

ラストライブは徳島で。
噂ではオークション等でチケットが高騰しているようだけど
どうか最後まで問題がおきませんように。
笑って3人がライブを終えられますように。
今はそう思っています。

ナタリー - チャットモンチー高橋久美子、9月でバンドを脱退

いつも応援してくれているファンのみなさん、ツアーが終わって間もないのに、このような報告をすること、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

私、高橋久美子は9月をもちましてチャットモンチーを脱退することになりました。理由は、音楽に向かっていくパワーがなくなっているということです。それは、新しい音楽を生み出す上で致命的であり、えっちゃん、あっこちゃんと熱の差がある中で気持ちを偽りながら曲作りに向かうことは私にはできませんでした。この感情は少し前から蕾のように私の中にあったものでしたが、春頃から、自分の生き方をより見つめ直すようになり、だんだんとその蕾が膨らんできてしまいました。

ツアーの後半から次の音源制作の話をしていく中で、二人の次に向かう勢いに真摯に向き合えないと感じ、抜けることを決意しました。今年いっぱいは活動しようと思っていたのですが、みんなで話し合った結果、二人の今後を考え9月の地元徳島でのライブを最後に脱退することになりました。

徳島でチャットモンチーに出会い、加入して7年4ヶ月、デビューして5年8ヶ月、二人と、スタッフさん、そして多くのファンの皆さんに支えられながらこれまで楽しく、そしてさまざまな壁を乗り越えながら音楽活動を続けてきました。

その中で生まれてきた数々の愛すべき曲達、そして3人のトライアングルの中で鳴らされる音、3人が同じ時代に生まれ、それぞれの楽器を持ち、同じ夢を共有できたこと。すべてが、奇跡のようなものだったと、脱退を目前に改めて実感しています。

一つの季節が終わることは悲しいことだけれど、それは新しい世界との出会いでもあります。えっちゃん、あっこちゃんなら、絶対に新しいチャットを鳴らしていってくれるでしょう。私が見てきた二人は、かわいらしいけれど、とても力強く、一途で、そして誰よりも、チャットモンチーが好きだからです。そんな二人と一緒に音を鳴らせたことを誇りに思っています。一人では絶対見えない景色をたくさん見させてくれました。本当にありがとう。これからも、こっそり見守っているからね。みなさん、チャットモンチーに変わらぬ応援をよろしくお願いします!

私は、というと、先のことはまだ決まっていませんが、きっと言葉を紡いで生きていくのだろうと思います。

どうかみなさんお元気で。またどこかでお会いしましょう。
あ、9月まではチャットモンチーですからね。
ライブ頑張ります!

尚、個人的に計画してきました詩と絵の展覧会「ヒトノユメin徳島」は予定通り開催しています。また8月27日〜9月11日までの「ヒトノユメin愛媛」も予定通り開催いたします。悩みましたが、楽しみにしてくれているお客さん、また、一年間かけて協力してくださっている地元のみなさんに報いるためにも開催を決定したことをご理解いただけたら幸いです。

高橋久美子